小学館アカデミー教育コラム
(1)幼児教育の有り方について
近年、日本の子供の学力低下が問題視されています。この問題の根幹の一つにあるのが、いわゆる「ゆとり教育」という教育制度。詰め込みの学習を廃し、人間形成に重きをおいた教育をしようという内容でしたが、得られた結果は学力の低下。特に小中学生の学力低下が問題視されるとともに、余暇の時間が増えたことによる非行行動が目立つようになったとも言われています。

心の形成と学習能力の両立は果たして不可能な事なのでしょうか?この問題は「幼児教育」過程にも同じような問題を孕んでいるかもしれません。
人は生まれてから数年間の幼児期に最も脳が発達すると言われています。3歳ごろまでに経験した事柄、外部からの刺激によりその後の脳の発達に大きな影響を与えると言われ、6歳ごろまでには大人とほぼ同程度に発達、その人の脳の構造が完成するといわれています。その為に幼児教育は早ければ早いほど良いと言われているのです。

幼児教育の一環に「カード教材」を使用し、フラッシュさせる教育方法があります。一般に左脳は言語、計算、分析を、右脳は倫理、暗記、芸術、空間認識を司ると言われ、幼い頃からフラッシュに慣らさせ、右脳を鍛えることで暗記力を高めるといった教育方法です。繰り返しの反復作業により、自覚して暗記するというより自然と身につけるということを目的とした方法です。このように瞬時に全体を把握することを「パターン認識」といい、これを利用したものを「パターン教育」と言います。この方法で天才的な記憶力を持たせることも可能です。

このように幼児教育は同じ事の反復による教育というよりは、ある特定のパターンに反応する脳を作り上げる作業かもしれません。こうしたパターン教育は実は弊害を生み出す恐れもあると言われています。パターンに慣れてしまった脳は創造力を欠き、受動的な脳になってしまい無感動、協調性を欠いた人格形成を招いてしまう恐れがあります。

今のように幼児教育が盛んではなかった頃、子供達は遊びの中で様々なものと出会い、感動を覚え、経験を積み重ねていくことで学習をし、人格を形成していました。遊びを重ねていく中で新しい遊びを見つけ、覚え創造力を鍛えて自発性を磨いていました。 冒頭で述べたように教育不安が囁かれる中で、お父さんお母さんがお子様の将来について不安がるのも理解はできますが、親同士の競争や見栄、周囲の雰囲気に流された程度を忘れた幼児教育は逆に人格形成を損ないかねない危険も孕んでいます。 幼児期に脳の発達を促す教育を受けさせる事で良い影響を与える事は間違いない事実。問題は受けさせる環境と周囲の意識、そこが肝要なのではないでしょうか。


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